つなろぐ。

日々を綴る。

日記。あと、【本日の1冊】『世にも美しい数学入門』

こんばんは。

久々の更新となりました。

昨日まで、サークルの合宿に行ってました。岐阜にね。

合宿って言っても、バスケして宴会してバスケして宴会しての繰り返しなので、ただただ遊び倒してるだけでしたけど。

これで運営回生としての行事もすべて終了したので、今後はもうちょい軽めな立場でサークルに参加できますね。1回生には今後のサークル運営、頑張ってもらいたいです。

 

さて。

ブログを更新しない間にまさかの3月突入。

平成26年も、もう2か月が終わってしまいました。

平成25年度は、今月で終わりです。なんか、アレですね、なんともいえない寂寥感。

「3月は去る」って言うくらいだし、今月もサーッと過ぎ去っていくのでしょう。

さらに言えば、今月はちょっと忙しくなる模様なので、過ぎ去るスピードも一段と速く感じそうです。

今週末から忙しくなってきそうなので、それまでにできるだけ読書に耽っておこうかなと思います。

 

【本日の1冊】『世にも美しい数学入門』藤原正彦 / 小川洋子

本日の1冊はコチラ。

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

 

 ふらっと立ち寄った近所の古本屋さんで見かけました。

立ち読みしてみると、数学が苦手な僕にとっても平易に感じ、かつ読み物としても面白そうかなぁという印象。

まぁ、ちくまプリマ―新書は「身近な悩みに答える、さいしょの新書」*1と銘打ってあるくらい、普遍的なテーマ設定とその読みやすさがウリだと思うので、僕なんかはとても好きな新書レーベルですが。

 

2人の対話によって紡ぎだされる「美しさとしての数学」。

本書を構成しているのは、数学者・エッセイストの藤原正彦さんと、小説家の小川洋子さんが織り成す対話です。

藤原正彦さんといえば、パッと思いつくのが『国家の品格 (新潮新書)』でしょうか。これを読んで、日本という国に対する「祖国愛」が少しだけ深まったかなって思います。

小川洋子さんの作品で読んだことがあるのは『博士の愛した数式 (新潮文庫)』です。映画化もされましたし、けっこう有名な作品だと思います。小6だったか中1だったかのときに読んで、めっちゃハマりました。

 

読んでて面白かったのが、数学と文学を見事にマッチさせている点です。数学の生み出す美しさを、藤原・小川の両者が巧みな詩的表現によって随所に描き出している。

対話のカギとなる数学についても、平易なテーマから出発しているので、特別な知識とか全然要りません。中学レベルの数学で十分です。

こういう読み物にしてくれると、どっちかというと数学が苦手な僕にとっては非常に読みやすい。また、綺麗な文章で数学の美しさが綴られているので、「数学は好きなんだけど、なんで好きかって言われるとなかなか言葉にできない・・・」なんて人も、これを読んでみると合点がいくのかも?

 

数学は実用にすぐ役立たないから素晴らしい

印象的だったのは、本書第1部第2章の場面。

藤原 たとえばエンジニアリングだったら、飛行機を速く飛ばすのに役立つとか、人類に役立つとか、いわゆる有用性がありますよね。一方、数学というものは本来は無益なものです。私のやっているものなんか、五百年経てば人類の役に立つかもしれないですけど、いまはまったく役に立たない。そうすると、何によって価値判断するかというと、主に美しいかどうかなんですよね。したがって美的感受性を育てることが非常に重要なんです。

小川 ですから、私もそこが、芸術に遠くないというか、むしろ近い分野だなって思ったんです。小説も言ってみれば、たいした役には立っていませんものね(笑)。(中略)

藤原 でも、小説とか詩とか読みますと、感激することがありますね。それは人類のために役立っちゃってるんですよ。残念ながら。

小川 あ、役立っていますか。それはいけませんね(笑)。

藤原 なぜかっていうとね、人間というのは感激したい動物なんですね。涙っていうのは流れるためにあるんですね。したがって感激したいんですね。(中略)人間というものは、脳は考えたい、足は歩きたい、手はつかんだりぶん殴りたいんです。そういう機能の一つとして、人間というのは感激したいものです。そういう欲求を満たしてくれる詩歌とか音楽と文学とか芸術一般は、実用的な意義はなくともすごく人類に役立っていると思いますよ。

(中略)

藤原 数学とは当面は何の役にも立たないが、後世になって非常に役立つこともある、という奥床しい学問なんです。ただ価値は高い。人間には感激したいという深い欲求があり、それを満たしてくれるのは、美しい自然は別格として、数学や文学をはじめとする文化や芸術以外にあまりないですからね。

 経済学や工学といった「実学」に対して文学や数学のような「虚学」には、"美的感受性の涵養と感激欲求の充足"という掬すべき重要性がある。そのことについて端的に言及してくれる感性に、素直に感動しました。

「それを用いて何かをする、ということに意義が見出される」ものもあるし、「それがあるという事実、そのこと自体に意義がある」というものもある。

これって、どんな学問を専攻しているだとか、何に対して価値観の優先順位を置いているだとか、ということに関係なく心に刻みつけておきたい気づきですね。

 

読みやすい文体と、いつの間にか読み終えられる分量で、すーっきりな読後感です。おすすめしておきます。

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

 

 

お読みいただきありがとうございました。

おしまい